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希望の地で働ける
2025/01/30

高性能な建築で地域と環境に貢献する!建材業界から考える“サステナブルな社会”の実現

少ないエネルギーで、夏は涼しく、冬は暖かく——。断熱化や気密化で建物の性能を高め、地球環境にとっても優しく、そこで時を過ごす人々にとっても快適な空間を実現することは、現在の“地域に根差した建築”の大きな課題のひとつです。 ここでは、愛知県岡崎市で地域に密着した木材・建材流通に携わる岡崎製材を訪問。「高性能な建物」の裏側にはどのような課題や工夫があるのか、経営企画室 室長の八田壮史さんと西三河支店 支店長代理の今井裕司さんに伺いました。

<お話を伺ったのはこの方!>

岡崎製材株式会社 経営企画室 室長・工事部兼任
八田壮史(はった そうし)さん
日本郵船株式会社に6年間勤めたのち、不動産仲介業を経て、2019年に入社。2020年に経営企画室を立ち上げ、2021年より工事部も兼任。主に新規開発や広報の強化などに携わる。
岡崎製材株式会社 西三河支店 支店長代理・流通営業
今井裕司(いまい ゆうじ)さん
2013年に入社。岡崎生まれの岡崎育ち。地元で働きたい一心で岡崎製材へ。インテリアが好きで、家具部門もあるため、家具屋だと思って入社した。現在は主に工務店への営業を担当。

サステナブルな家に必要な建材とは?膨大な知識量で家づくりをサポート

──岡崎製材では30年前から「高性能な家づくり」に取り組んでいるそうですね。高性能化というと、まっさきに思い浮かべるのは「断熱」です。断熱によって人の暮らしはどう変わるのでしょうか。
八田さん: 家づくりに着目すると、高性能化することで「小さなエネルギーで、快適で健康的な生活」が実現できると考えています。そして、断熱性能を高める最大のメリットは、省エネです。どんな地域でもエアコンは使いますよね。断熱性能を良くすると家づくりのコストは上がりますが、少ないエネルギーで生活できるので、日々の電気代が安くなりますし、環境にも優しい。サステナブルな観点からも、断熱性・気密性を高めて省エネ化することを推進しています。
今井さん: 愛知県は省エネ地域区分では6地域に分類され、全国的に見て比較的住みやすい気候とされていますが、地域によっては寒さが厳しいし、夏はやっぱり暑い。寒いときは少ないエネルギーで部屋を温め、暑いときは屋外の熱が家に入らないようにちゃんと遮蔽しましょう、と。最近流行っているのは、家全体の温度を一定にする全館空調です。断熱性や気密性を高めた上で、空気を循環させて室温を一定にすると、大きな省エネにつながります。
八田さん: 断熱性能を高めるにしても、夫婦2人暮らしなのか、小さな子どもがいるのか、ペットがいるのか、その人たちの暮らしぶりによって家に求める快適さは違います。何万種類もある建材の中から、工務店さんを通じて、住む人たちに合わせた建材を提案するのが、流通店の主な役割です。
──まさにSDGsの一端を担っているのですね。主に地域の工務店に建材を卸しているそうですが、工務店ではどのような課題を抱えていることが多いですか?
今井さん: 単純に、建材の種類が多いんです。だから、どれを使って、どこを断熱するのか迷っている工務店さんが多い印象ですね。そういうときには、自分たちが目的に合った建材をアプローチしてゴールまで導いていきます。
八田さん: 工務店さんも建築のプロですが、膨大な建材を比較するところまでは難しい。木材・建材の製品知識を持つ私たちが、建材の比較や使い分けを提案することで、工務店さんをフォローできます。
今井さん: 今、国で決められている断熱性能の最低基準は「4」ですが、マックスで「7」まで上げることができます。今後、快適な家づくりには、国が提唱するロードマップも見据えた上で判断していかなければならないと思いますが、断熱性能をグレードアップするには手間もコストもかかるので、「とりあえず最低基準をクリアしているからいいや」と考えている工務店さんはまだまだ多いですね。手間やコストの負担についても配慮しながら、断熱性能を上げることの良さをもっと伝えていきたいです。
──そのような働きかけで、工務店さんの断熱性能に対する意識が変わった、というような例はありますか?
今井さん: 等級「5」「6」「7」というのが、自分たちの施工している断熱性能と比較するとどのくらいのレベルなのか、それを理解して対応できる工務店さんは少ないんです。私たちが開発室で温熱計算をして、これだけ厚みを変えれば求められる基準を満たすことができる、と提案し、法改正に追いついた経営者さんはたくさんいらっしゃいます。
八田さん: 建築会社さんにとっては法改正が大きなハードルになることもあります。それまでのやり方や工程・予算管理まで大きく変わる場合があるからです。建築会社さんにとってそれら全てをすぐに変えるのは難しいこともありますが、その時がまさに私たち岡崎製材の出番です。国が掲げるビジョンや建築物の性能に関する国際比較と、当社が長年蓄積してきた技術・知識をしっかりとお伝えし、施工研修や勉強会で共に学び、そして時には当社が施工までお請けすることで建築会社さんの懸念や乗り越えるべきハードルをクリアしています。
──サステナブルな家づくりに、岡崎製材さんのような建材の流通店が大いに貢献されているのですね。工務店さんから直接喜びの声を受け取ることもありますか?
今井さん: 私たちは基本的に建材商社なので、材料を買ってもらえるだけでも商売は成り立ちます。でも、まだ家の図面が決まっていないうちから、工務店さんに「お客様から求められた断熱性能と構造の強さが、今までの僕らのスペックよりちょっと上なんだよね」と相談していただくことがあります。そこで提案したことを受け入れてもらえると、一緒に家づくりをしている感覚になれますし、役に立てているという実感もあり、非常に嬉しいですね。

どの地域でも働ける!一生モノの知識が身につくのが、建材業界の強み

──地域の建築・建設会社と一緒に働く中で、社員はどのように成長していますか?
今井さん: 成長するために何か特別なことをしている、というよりも、日常の中で常に課題を拾い上げて、トライアンドエラーを繰り返しているだけなんです。最初は建築の知識ゼロで入社して、いきなりプロの人たちと対等に話せるわけがないと思っていましたし。
例えば工務店さんだと、いいと思うものにまずはチャレンジして、より良いものが見つかれば材料を変えて、最終的に自分のポリシーに沿った家をつくる。それが地域工務店の在り方だと思うので、一緒に共有して、ともに成長していけたら嬉しく思うんですよね。経験の長さとは関係なく、これからもトライアンドエラーを続けていくしかない、と思っています。
──建材業界は上下関係が厳しいようなイメージありますが、お客様とのコミュニケーションでは、どんなことを大切にされていますか?
今井さん: 製品知識や断熱気密の仕組みが一通り理解できるようになった頃から、求められることに応えるだけではなく、自分の考えも伝えるようにしています。最初は建材の提供から始まりますが、人としての繋がりが生まれてくると、資材や構造に関することだけではなく、住まい手さんの要望にまつわる相談など、本音をぶつけてくださるようになるんです。
元大工さんのような年上の経営者さんとも同じような温度感で話し、頼っていただけることは喜びであり、家をつくる上でもいいコミュニケーションに繋がっていると思います。
──今井さんは社内で「みかわ百年の家プロジェクト」にも参加していたそうですね。どのような取り組みでしたか?
今井さん: “省エネ”と“暮らし”にスポットライトを当て、どこまで省エネ性能を高めたら、住む人たちに還元されるのかを、物理的な観点から研究していました。ただ数値を上げるだけではなく、住み心地に注目し、家を次世代に引き継ぐところまでを勉強できたのは、非常に楽しい経験でした。僕自身も、プロジェクトで学んだ試みを自宅に取り入れているので、お客様に提案するときにも実感がこもっていると思います。
八田さん: 私たちは木材・建材、そして建築のプロとして、お客様のニーズに的確に、タイムリーに対応したいので、リードしていく立場の社員が積極的に勉強会や社内研修に参加できる環境を当社は整え、国内・国外問わず派遣します。私自身も業界経験ゼロで入社しましたが、先輩の後ろについて受発注業務を学びながら、現場では現場監督や職人さんとのやり取りを経験させてもらい、かなり実践的に教育してもらいました。おかげさまで、岡崎製材の社員個々の勉強量・知識量は、他の流通店と比べても豊富だと自負しています。
──同じ地域に根づく会社だからこそ密接に繋がっている、ということもあるのでしょうか。
八田さん: 住んでいるところが同じですからね。たとえば、川沿いだから大雨のときに心配だとか、地域の特性を捉えられるのは地元だからこそ。共にここで暮らしているからできる話がある、っていう土着の協調性みたいなものが、家づくりの面でも良い方向に向かうことは多いと思います。
——なるほど。反対に、土着ではない人が、建材業界での学びを生かして活躍できるチャンスもあるのでしょうか。
八田さん: 他の地域の人が、希望の地の建材業界で活躍するフィールドも十分にあると思います。建材業界って、構造計算から保険関連まで膨大な知識が身に付くし、もちろん地域特性(降雨量・降雪量、地形の違いなど)はありますが、全国どこへ行っても家を建てるベースの考え方はあまり変わらないので、一度覚えたらどんな地域でも活かして働けるのが魅力。インテリアが好きとか、切り口はなんでもいいんですよ。衣食住の「住」に何かしら関心があって、常に学んでアウトプットしていける人なら、すごくおもしろいと思います。

快適な暮らしを提供し、“地図に残る仕事”の一部を担っていく

──建材会社は、専門的な知識や誠実な提案で地域社会のニーズに応えていることが伝わってきました。これから、どのような想いで地域貢献に取り組んでいきたいですか?
今井さん: 率直に言うと、資材を販売する立場から地域への貢献を体感するのは難しいのですが、工務店さんと家づくりについてお話ができる、意見を言い合えるっていう今の環境が、その先にある住まい手さんに繋がっていると感じています。これからも工務店さんと密接に関わっていきたいです。
八田さん: お客様である工務店さんも、協力業者である大工さんや職人さんたちも、紐解いていけば一体のチーム。その中で、最適な建築資材や施工を提案できる私たちのような流通店は、地域の建築の起点になると感じています。以前、ゼネコンさんからの一括請けで保育園を建てまして、地盤改良からクリーニングまで、現場は緊迫して笑顔も出ないような大変な物件でしたが、最後はそこに通う子どもたちの笑顔に出会えたんですよ。建築資材だけではなく、人の安心、安全な暮らしと場づくりに貢献しているなと肌で感じました。
“地図に残る仕事”の一部を担っている自覚と責任がありますし、これからも快適な暮らしを提供することで、地域への貢献度をより高めていきたいと感じています。

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