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キャリア安全性
2025/04/23

人材育成のプロが語る、今の「キャリア安全性」。人生 100 年時代に生き残るためのキャリア形成術とは

これから社会へと羽ばたく学生にとって、自分の進む道はまだまだ未知の世界。だからこそ、キャリアプランを描くうえで気になるのは「キャリア安全性」ではないでしょうか。 そこで、サッカー部監督として選手の育成や、学生のリーダーシップ育成に取り組んでいる岡山理科大学副学長・秦 敬治教授に、キャリア安全性の考え方についてインタビューを実施。さらに、衣食住の「住」を支える建材業界がキャリア安全性という観点で優れているポイントについても語っていただきました。

<お話を伺ったのはこの方!>

岡山理科大学 学長補佐 / 教育学部長 / 教育推進機構 教授 / サッカー部監督
秦 敬治
教育学(博士)。専門は教育学、高等教育経営や大学職員論、人材育成、組織マネージメント、コーチング、リーダーシップなどが中心。

就活生が考えるべき「キャリア安全性」とは?

──今の学生の就活や会社選びには、どんな傾向がありますか?
今の学生は平成の頃のように給料や会社の規模、上場企業や金融関係、官公庁などよりも、ベンチャーを好む傾向がありますね。なぜかというと、社長との距離が近いから。大企業に入ると、最後まで社長と話す機会が持てないこともありますが、ベンチャーならすぐ社長と話せて、半年でもかばん持ちをすれば会社全部を見ることができますよね。
さらに、昔のように終身雇用ではなく、「学んだら次に行こう」と考える人も増えています。学生や30歳前後の人たちが一番就職に求めているのは、“自己の成長”です。つまり、「自社はもちろん仮に他社に行っても通用するスキルが身につくよ」という会社が選ばれる傾向にあります。
──人材育成やリーダーシップについて研究されている秦教授にとって、「キャリア安全性」とは何ですか?
そもそも、キャリアというのは、スキルアップし続けないと安全性って生まれないと思うんです。今の能力のままでは、3年後や5年後にはもしかしたら、その仕事や役割は社会にとって不必要になるかもしれません。
新しい仕事がどんどん生まれてきて、永遠に続く仕事ってなくなってきていますよね。例えば、配信者になりたいって子どもの頃に思っていても、10年後にはもう動画配信サービスがないかもしれない。だから、特定の仕事や役割にこだわるよりも、さまざまな経験やスキルを身に付ける必要があると思います。そうすることで、あらゆる角度から物事を客観的に見ることができるので既存のやり方にとらわれない柔軟な発想をすることができると思っています。 そのような経験ができる会社や業界に勤めることが、僕はキャリアの安全性だと考えています。
仮に、親の事情で地元に帰らないといけない、となったとき、経験を積んでスキルアップしていれば、どこでもすぐに雇いますよと言ってもらえますよね。逆に、その会社にしがみついておかないといけない状態だったら、その先が不安定になります。だから、いつでも出られる状態に育ててくれるような会社や業界を選ぶのがキャリア安全性なのかなと思いますね。

建材業界は1000年後もある!?衣食住に関われる強み

──建材業界の安定性についてはどうお考えですか?
建材業界って、実は廃れない業界だと思っています。衣食住って絶対的な存在なんですよ。もしかしたら未来では家自体が移動して、車がなくなるかもしれない。車はなくなっても、人がいる限り、住居はなくならない。1000年後もある業界だと思うし、衣食住に関われることは強みですよね。
しかも、立派な大黒柱や古い寺社仏閣など、平気で500年とか1000年以上もっていますよね。伝統的な技法や木材の良さを残しながら、最新の技術を取り入れた耐震構造を考えていくといったことが進めば、一気に住建材の業界は突き抜ける可能性は高いでしょう。
あと、人間って、昔から木とか水とか土と生きているからか、木とか水に対する不思議な執着があるんですよね。木って、誰もが落ち着く、温もりを感じるものだと思います。だからずっと使われていくと思うんです。
実は、今ウッディワールドのざきさんと一緒に部室づくりに取り組んでいます。寒いときに暖かくて、暑いときに涼しく感じる、新しい材料ができた、というので、ぜひそれを使ってほしいとお願いしています。発想として「そんなことできるの?」というものが、実際に形になっているのは、今後の建築業界や建材業界が、さらに発展していく可能性を感じますよね。今は極端に暑かったり寒かったりしますし、冷暖房を使わずに快適に過ごせるのは、環境にも優しい。そういう、人々の暮らしに寄り添い、しかも環境にも配慮できる業界は、今後も求められ続けると思います。
──建材業界で働くという観点では、どんなことが成長の可能性につながると思いますか?
建材業界は、材料の調達から、加工してお客さんが家に住むところまで全部見られるんですよね。つまり、製造の過程からお客さんの手に届くまで一気通貫で見られる。そんな業界ってなかなかないんじゃないかと思うんです。(※下図参照)
私たちが仕事をするうえでお客さんの豊かさや幸せを求めるほど、エンドユーザーのことが気になるはずなんです。だから、建材を販売するところからユーザーの声が生で聞けるところまで関わろう、という流れが出てくるんじゃないかと考えています。
0から100まで関われという話ではないですが、BtoBと割り切らずにエンドユーザーにとっての「豊かさ」を工務店と一緒になってつくり上げていくことで、工務店の利益の向上に貢献できる。言わば、エンドユーザーと工務店を同時に豊かにするコンサルティングのような仕事ができるとキャリアとして成長につながるはずです。
キャリアを重ねて専門性が高まれば、日本以外の国でもノウハウを活かしてキャリアを広げていけるでしょう。木造住宅は世界中にありますし、木を使った家の建て方は日本が世界トップクラスだと思うんです。ナンバーワンの意識を持って取り組めれば、さらに強みになりますよね。
補足資料:一般社団法人 全国住宅産業地域活性化協議会

補足資料:一般社団法人 全国住宅産業地域活性化協議会

どんな業界でも通用する!建材業界で磨ける2つのスキル

──建材業界でキャリアを築くことで得られるスキルや将来像とは?
一つは、柔軟な発想力ではないでしょうか。先ほども述べたように、仕事の価値は時代とともに変わっていくものなので、業界もどんどん変化していくと思います。僕が監督をしているサッカーチームに支援してくださっている「ウッディワールドのざき」のみなさんと話していても感じますが、古いやり方をそのまま反映していくという昔流のやり方ではもうダメでしょう。やはり、ないものをつくり上げていく、ゼロイチの発想をする柔軟性が養われると、安全性の高いキャリアを創造できるのではと思います。恐らく、そのスキルはどんな業界でも活かせますよね。
世の中の90パーセント以上の発明は、既存のモノの組み合わせなんです。スマホがいい例で、電話に時計や電卓、カメラを組み合わせていますよね。もともと1つずつの機能は新しくはないけれど、まとめたから売れているんです。そういった面白い仕掛けみたいな発想を養えると、キャリアの安全性につながっていくはずです。
また、建材業界で育てられるもう一つのスキルとは、「一番大切なことは何か」を常に意識する、ものの捉え方だと思っています。例えば、聖書に3人の石切り工に「何をしているか」と尋ねる話があります。1人目は「石を切っている」、2人目は「教会をつくっている」、そして3人目は「みんなが幸せになるために石を切っている」と答えたそうです。
つまりこの3人の答えは、その仕事の本当の意味をどう捉えているか、ということです。建材業界でも、ただモノを売りたいというだけでは、スキルに限界が見えてきます。でも、材木の生産者や製造メーカーから、住宅に住むエンドユーザーまで、間を取り持つ建材業界だからこそ、建材を使ってくれる人の未来や夢、幸福を作りあげる仕事をしている、と考えられますよね。
木を切るといったような目の前の仕事は、そのうちロボットやAIができるようになります。でもそれを動かすのは人の思いや発想です。そういう心と頭の柔軟性は、どの業界でも必要とされると思っています。
補足資料:一般社団法人 全国住宅産業地域活性化協議会

これからのキャリアプラン形成に必要な目線とは

──学生がこれからキャリアプランを描く上で、重要なポイントとはどのようなことでしょうか?
先ほども話したように、今は終身で勤めようとしていない学生が多いので、教員としては「行ってみた会社で一生懸命頑張ればいい」と言っています。今は、入った会社の仕事が向いてないとか、他に興味あるものができたら、移れる時代。それを否定される時代じゃないんですよね。
先日、僕が監督をしているサッカーチームで公務員試験を受けて落ちた学生がいたのですが、なぜ公務員を希望したのかと尋ねると、「地元で働きたいから」と言うんです。でも地元に根付いた企業は公務員でなくてもありますよね。それで、スポンサーとしてお世話になっている「ウッディワールドのざき」の面接を受けることになり、就職を決めました。建材会社はあまり知られていませんが、地域の建設業界を下支えする重要な役割です。地元で安定していて、地元のためになれるし、しかも仕事の内容もわかりやすいという点では、建材業界はうってつけだと思います。人手不足やDX化などに業界の課題はありますが、その分若い力が求められているのではないでしょうか。

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