生活の基盤となる住まいをデザインする仕事に憧れを抱く方は、多いかもしれません。でも、具体的にどんな仕事をするのか、イメージするのは難しいですよね。
そこで、実際に住まいをデザインする仕事をしている先輩社員にインタビューを実施。株式会社ジツダヤの住宅リフォーム営業として、建築士やカラーコーディネーターの資格を活かしている、近藤さんにお話を伺いました。
<お話を伺ったのはこの方!>
株式会社ジツダヤ 春日井店 ハウジンググループ リフォームチーム
近藤 実穂(こんどう みほ)さん
大学は建築学科を卒業。岐阜にある工務店に就職し、設計に携わる。その後、地元である名古屋へ戻るため、株式会社ジツダヤへ転職。現在、リフォームの営業やマンションの買取再販事業にて、住宅デザインに携わっている。
リフォーム営業を通して携わる「住宅デザイン」の仕事とは
──現在、携わっているお仕事について教えてください。
近藤さん: キッチンの水栓の交換から、マンションのフルリノベーションまで、リフォームの営業と設計を担当しています。具体的な業務内容は、現地調査、お客様との打ち合わせ、見積り作成、契約、現場の確認です。小さな工事であれば、現場監督としてお引渡しまで現場の段取りをすることもあります。
また、マンションの買取再販事業にも携わり、買い取った中古物件をフルリノベーションする際の、リフォーム設計に携わっています。
──住宅デザインに関連する仕事には、どのように携わっていますか?
近藤さん: 例えば、リフォーム工事に関しては、水廻り設備の交換が多いです。お客様がショールームで決められた設備プランに対して、実際に合うサイズか、電気回路の余りはあるか、排水経路の確保ができるかといった現場の状況を確認します。もし合わない場合は、弊社でプランを変更してから、工事を行います。
設備の交換に伴って、どうしてもクロスや床材の張り替えが必要になることもあります。そうなったときは、新しいクロスや床材について、色柄や選択可能な素材を提案することもあります。
──実際に、提案した事例があれば、ぜひ教えてください!
近藤さん: はい、「なるべく既存の状態を壊さずにキッチンをリフォームしたい」というお客様のご希望に沿うようにご提案したことがあります。
換気扇の背面についている天井まである棚を外してキッチンをリフォームしたいが、LDKの天井のクロスは数年前に張り替えたばかりなので、今回、LDK全体の天井クロスの張り替えは控えたいというご要望をいただきました。
本来はキッチンの交換に伴って、どうしても天井のクロスを張り替える必要があったんです。でも、張り替えをしたい部分の面積が小さめだったので、図面を作成して大工さんと相談した結果、箱型の下がり天井を作り、キッチンの上部のみクロスを張り替えさせていただくという提案をしました。
他の工務店さんに「クロスは絶対張り替えが必要」と提案されて困っていらしたこともあり、お客様には大変喜んでいただけました。
お客様の満足感を引き出すための接客スタイル
──リフォームをご依頼されるお客様と関わる際に、こだわっていることやポリシーはありますか?
近藤さん: お客様が素材やクロスを選ぶ際に迷ったときは、お客様のご要望を伺って、一歩後ろで選択のサポートをするような接客を心がけています。もし価格を気にされている方なら、価格を抑えたグレードの中から人気のものを事例とともに提案したり、お客様が選んだものがその部屋のテイストや色味に合わない場合は、似たような雰囲気で色味の合うものをご紹介したりなど、一緒に決めていく相談相手になるようにしています。
ちょっとずつ選ぶヒントをご提供しながら、最後はお客様に選んでいただくのが理想です。やはりご自身で決めたものには、こだわって選んだ、という思いが詰まっているので、よりお客様に「リフォームしてよかった」と思っていただけると感じています。
──その接客のこだわりには、何かきっかけがあったのでしょうか?
近藤さん: 前職は注文住宅の戸建てをメインとしている工務店で設計をしていて、モデルハウスの案内業務もしていたのですが、お客様はすでにInstagramやPinterestなどのSNSを見て、ある程度それぞれのイメージやこだわりを持っている方が多かったんです。
やはり、たくさんの商材を見せて「こんなにたくさん選べますよ」と提案をしたほうが楽しんでもらえますし、「ここは自分がこだわった」という思いを持っていただけるので、せっかくリフォームされるならイメージに合うものをしっかり選んでいただきたいなと思いました。
もちろん、選ぶことが負担になってしまうお客様には、こちらで決めますよ、こちらでサポートしますよと伝えてご負担にならないようにしています。お客様の性格を見ながら対応していますね。
──前職での接客経験が背景にあったのですね。逆に、前職の工務店での勤務で、接客の仕方で異なる点はありますか?
近藤さん: そうですね、前職ではモデルハウスを見に来られる方が多く、お客様との接点はかなり多かった印象があります。それに比べると、今の仕事は、お客様と接する機会が減ったなと感じます。特に、マンションの買取再販事業では、まだお客様がついていない状態で設計を進めますし。
でもその分、自分のやりたいように自由に仕事ができるようになったかなと思うことはあります。自分がやってみたいと思うことを積極的に挑戦する機会は増えたと思いますね。
サンプルを取り寄せ何度も確認…やりがいと勉強につながる、細部へのこだわり
──マンションの再販業務での設計やリフォーム業務で、成功した、こだわったという事例があれば、教えてください!
近藤さん: すごく細かいところなのですが、商材ごとにできるだけ木目の色をそろえるようこだわりました。カウンターなどに貼る化粧フィルムや、クロス、ドアなど、メーカーが違うと微妙に色味も違うので、違和感を覚えるときがあるんです。
ですので、サンプルを取り寄せて実際に当てて確認しながら選びました。商材によっては近い色味がなかったり、流行の色にすぐに対応できなかったりすることがあるので、違う色でも違和感がないようにするか、思いきって別メーカーのものを使うなどで対応しています。
特に決められた基準があるわけでもなく、私自身の「なんとか色味をそろえたい!」という挑戦の思いだけですが(笑)。正直、実際にお客様が見てどう思うかはわからないところもあります。でも、せっかく建材をたくさん扱っている会社にいますし、比べるときにたくさんのメーカーの商材を見ることができるので、自分の勉強の機会にもなっています。
そしてやはり、完成品を見て「よかった、違和感ないぞ!」と感じられるのは、楽しいですしやりがいも感じますね。
住宅デザインの仕事にも活かせる、カラーコーディネーター資格
──そもそも、住宅産業に興味を持ったのは、どんなきっかけがあったのでしょうか?
近藤さん: 最初のきっかけは、高校3年生の夏に行ったオープンキャンパスです。当時は農学部に行こうと思っていたのですが、別の学部も見てみようとたまたま立ち寄った建築学科の展示で目にした模型に惹かれました。もともと、モノづくりが好きだったので、模型作りの講義って楽しそうだなと思い、建築に携わってみたいと感じるようになりました。
大学に入ったばかりの頃はそこまで住宅産業で働きたいと意識していたわけではなかったのですが、就職活動のときに近くのハウジングセンターにいた営業さんにお話を聞いて、工務店なら職人さんと距離が近いからモノづくりの勉強になりそうだなと思い、具体的に住宅産業に進もうと決めました。
とにかく自分が好きなモノづくりをしたいという思いが根本にあって、住宅は一番身近な分野ですし、自分が考えるモノづくりとイメージが合ったんです。特に、地域に根付いた工務店なら、丁寧な接客ができて、お客様のちょっとした悩みも大工さんに相談しやすい環境がいいなと思い、前職の会社を選びました。
──現在の仕事に転職したのは、どんな理由があったのですか?
近藤さん: 仕事のやりがいとともに、プライベートの充実も重視したいと思うようになりました。前職の会社は岐阜にあったのですが、地元の名古屋で働きたいということと、休みが水曜と月に2日は土日に取れるというスタイルで、なかなか友人と予定を合わせることができなかったので、仕事は楽しかったのですが働きやすい環境として、現在の会社に転職しました。
今は土日祝日が休みで、プライベートを充実させながらやりがいのある仕事もできる環境で、楽しく働けています。
──住宅産業を目指す中で、積極的に学んだこと、役立った経験や知識はありますか?
近藤さん: 大学を卒業すること、必要単位を取得することが建築士の資格を取るための条件だったので、まずは真面目に授業を受けました。
その他に、就職してから活かせると考えて取得したのが「カラーコーディネーター」でした。一番興味があって、取り掛かりやすい資格かなと思いましたし、就活で履歴書に何か書けるといいなと思ったので、在学中に勉強して取得しました。
また、資格ではないですが、インプットのためにいろいろな建築物を見るようにしました。まだ学生なので細かいところまでは理解できませんでしたが、なんかかっこいいな、という部分はデザインに現れていると思うので、いつか自分の引き出しになると思って、たくさんの建築物を見てまわりました。
──カラーコーディネーターの資格は、今仕事にどのように活かしているか教えてください。
近藤さん: カラーコーディネーターを取るときに、面積効果という、明るい色は面積が大きくなるほど色が明るく、鮮やかに見えるという現象を知りました。その知識は、商材の色選びに活かせています。小さいサンプルだと実際の色と違って見えてしまうので、なるべく大きなサンプルを用意して確認しています。
キッチンやユニットバスのカラーイメージサンプルはかなり小さいですし、クロスなどもカタログには5センチ角もないサンプルしか載っていないんです。ですので、クロスはメーカーにA4サイズのサンプルを取り寄せて、お客様にも見てもらい、イメージと違いがないか確認してもらうようにしていますね。
住宅デザインは社会や環境問題に貢献できる業種。産業としても意義がある
──住宅デザインを通して人々の暮らしを支える仕事に就かれている近藤さんにとって、この仕事の魅力はどんなところにあると思いますか?
近藤さん: 生活の基盤となる住宅をデザインすることで、お客様の生活の向上が図れますし、リフォームは変化が目に見えてわかるので、自分もお客様も感動が大きいと思います。お客様から直接「やってよかったよ、ありがとう」と言葉をもらえたときが、一番やりがいを感じる瞬間です。
お客様と接することがない、中古マンションの買取再販事業のリフォーム業務でも、現代の生活様式に合わせた間取りに作り変え、古びた内装や設備を新しくすることで今社会問題になっている空き家問題の解決策になっています。また、新築に比べてリフォームのほうがCo2の削減といった環境問題対策にも繋がりますし、物価が上がって持ち家を持てない、建てられないという若い方にも新築よりリーズナブルに提供できます。そんな社会問題に社会の1人として貢献できるのは、産業としても意義があるなと感じています。
これから建材業界で働く方々には、お客様との直接的な関わりがなくても、社会や環境に対する責任を果たすことができるということを感じてもらえたらうれしいなと思います。
近藤さん: 前職では木造の戸建てがメインで、鉄筋コンクリート造のマンションを扱ったことがなかったので、今、買取再販業務では勉強しながら取り組んでいます。これからもたくさん場数を踏んで、もっとデザイン性や設計力を上げて、良い物件を作っていきたいと思っています。
そのために、憧れの建築士の施工事例を見たり、職人さんたちに相談したりしながら、自分が「いいな」と感じるデザインを吸収して形にしていきたいですね。
今回のインタビューに登場してくださった近藤さんは、株式会社ジツダヤでリフォームの営業やマンションの買取再販事業に携わっています。ここまで記事を読んで、「住宅デザイン」にまつわる仕事についてもっと知りたいと思った方は、ぜひ企業サイトもチェックしてみてください!
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